anaemia

生理と貧血の原因

生理と貧血の関係とは?
過多月経と鉄欠乏性貧血の原因

【生理で貧血】子宮筋腫や内膜症も原因?過多月経と鉄欠乏性貧血

「生理中はクラクラして貧血になる」
「生理の量が多くて、貧血にならないか心配」

毎月生理がある女性は、男性に比べて貧血になりやすい傾向にあります。特に経血量が多い方は、注意が必要です。また、生理のたびに吐き気がして気分が悪いめまいがして倒れそうになるという方も多いかもしれません。

そこで今回は、生理になると貧血になるのか、生理が原因で引き起こされる鉄欠乏性貧血、貧血を対策する方法など、生理と貧血に関するさまざまなことについて解説します。

ページの監修医師

東京都豊島区の池袋駅前婦人科クリニック加村和雄院長

池袋駅前婦人科クリニック 
加村和雄(かむらかずお)院長

1998年埼玉医科大学医学部卒業。病院やクリニックにて、日本産科婦人科学会専門医として研鑽を重ね、池袋駅前婦人科クリニックを開院。

生理で貧血になる?
吐き気がしたり倒れることもある?

生理が始まると体調が悪くなり、吐き気がする、めまいがして倒れるなど、貧血のような症状を起こす方が多くなっています。これは、通勤通学の途中や学校の朝礼などで、めまいや立ちくらみを起こすのと同じ「脳貧血」が原因です。

貧血と脳貧血、よく似ている言葉ですが意味が異なります。貧血は血液中の赤血球が不足していることを意味し、脳貧血は脳に血液が行かなくなって酸素欠乏状態に陥っていることを意味するのです。生理中のフラフラやめまい、吐き気は主にこの脳の酸欠状態を指し、医学的には起立性調節障害といいます。生理中は、自律神経の調節が上手くいかずに起立性調節障害を起こしやすいのです。

起立性調節障害を起こしたときは、安静にし、足を少し高くして横になるといいでしょう。また、身体を締め付けないようにすることも大事です。このとき、身体を冷やさないこともポイント。できれば水分を補給するといいでしょう。一気飲みでなく、常温の水分を少しずつ飲むのがおすすめです。自律神経の乱れは、安静に横になっていると次第に落ち着きます。

では、生理が原因で貧血になるのは間違いかというと、そうではありません。経血量が多い、生理期間が長いと身体の血液が毎月失われていき、やがては貧血になってしまうのです。

過多月経とは?

標準的な経血量は20~140ml程ですが、140ml以上の経血量の場合に過多月経と診断されます。この140ml以上の経血量について、想像ができないかもしれません。どんな生理の状態が当てはまるのかというと、概ね下記のような状態です。

  • ・経血にレバーのような大きな血の塊が多く混ざっている
  • ・通常のナプキンが1時間もたない→ナプキンを交換しないと漏れてしまう
  • ・布団や洋服を汚してしまうことが多い→生活に支障をきたすほど経血量が多い

ここまで経血量が多いと、毎回の生理で多くの血液が失われていき、鉄欠乏性貧血になる可能性が高まります

子宮筋腫とはどんな病気?

子宮筋腫とはどんな病気?

過多月経の原因となる疾患の1つ目は、子宮筋腫です。子宮筋腫とは、子宮壁にできる良性の腫瘍のことです。決して珍しい病気ではなく、30歳以上の女性の20~30%に見られるとされています。筋腫の呼び方は、子宮のどこの部位にできるかで異なり、下記で示すとおりです。

  • ・子宮の外側→漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)
  • ・子宮の筋層の中→筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)
  • ・子宮の内側→粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)

この内、子宮の内側にできる粘膜下筋腫のケースでは、子宮内膜の面積が増えてしまうため、生理の際に経血量が増加する可能性がより高くなります。

子宮筋腫の症状をセルフチェック

では、子宮筋腫の症状をチェックするリストを見てみましょう。

  • 生理の量が多い
  • 生理痛がひどい
  • 生理期間が10日以上続くことがある
  • 下腹部痛・腰痛がある
  • 下腹部にしこりがある
  • 排尿トラブルがある
  • 便秘がある
  • 性交時に痛みがある
  • おりものに血が混ざることがある
  • 動悸・息切れ・めまいなどの症状がある

上記のチェックリストで当てはまる数が多いほど、子宮筋腫の可能性が高いということです。思い当たる症状が多い方は、一度検査を受けた方がいいでしょう。

子宮筋腫はどんな治療を行うの?

子宮筋腫のサイズが小さく、症状が無症状の場合は治療の必要はありません。ですが、筋腫のサイズを確認するためにも、定期的な検診が必要になります。

筋腫がある程度の大きさで症状がある場合には、外科的治療(手術)や薬物療法が適用です。外科的治療には、子宮を取ってしまう子宮全摘術と、筋腫だけを取る手術の筋腫核出術があります。近年では、開腹手術ではなく、腹腔鏡下で行う腹腔鏡手術も増えてきました。腹腔鏡手術は、傷が小さく術後の回復が早いというメリットもありますが、筋腫の大きさやできている部位よっては適用にならないことがあります。

子宮筋腫の薬物療法は根本治療にはならず、症状を緩和したり、筋腫を小さくしたりすることが目的です。薬物療法は、月経を止める治療(偽閉経療法)が行われ、点鼻薬と注射の2種類があります。しかし、この治療は女性ホルモンの分泌が少なくなるため、更年期のような症状がでたり、骨量が減少したりする可能性があり、長期間続けることはできません。この他に、低用量ピルを使用することもあります。女性ホルモン量の少ない低用量ピルを使うことで、筋腫が大きくならず、症状の緩和が見込めるからです。

子宮内膜症とはどんな病気?

子宮内膜症とはどんな病気?

過多月経の原因となる疾患2つ目は、子宮内膜症です。子宮内膜症とは、本来は子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜組織が卵巣や腹膜など、子宮以外の場所で増殖してしまう病気です。好発年齢は20~30代で、ピークは30~34歳とされています。この病気は、月経周期に合わせて子宮内膜組織が増殖し、周囲の組織と癒着、そして痛みを引き起こします。さらには、不妊症の原因になるので注意が必要です。

子宮内膜症が起こりやすい部位は、卵巣、子宮と直腸の間のくぼみ(ダグラス窩)、仙骨子宮靭帯、卵管、膀胱子宮窩などが挙げられます。

子宮内膜症の症状

子宮内膜症の症状としてもっとも多いのが、痛みです。特に生理痛は、子宮内膜症の方のおよそ90%に見られます。また、生理痛だけでなく、腰痛や下腹痛、排便痛、性交痛などの痛みを伴うことがあります。痛み以外にも、過多月経、不正出血などもよくある症状です。

子宮内膜症は、生理のたびに進行していくため、重症化する方も少なくありません。子宮内膜症が悪化し、進行すると不妊症につながるので、妊娠を望む方は特に注意したほうがいい疾患だといえるでしょう。

子宮内膜症はどんな治療を行うの?

子宮内膜症の種類や症状、重症度などで治療法が選択されますが、患者様の年齢や妊娠希望によっても治療方法が異なります。まずは、痛みに対し鎮痛剤が使用される対症療法が第一選択肢です。その他に、低用量ピルを用いたり、視床下部ホルモンであるGnRHの拮抗剤アゴニストや黄体ホルモン剤といった薬剤が選択されたりします。これは人工的に生理を止めて病巣を休ませる方法です。

さらにチョコレート嚢胞などのケースでは、手術が選択肢になることもあり、妊娠を望まれる方とそうでない方では手術の方法が異なります。子宮内膜症は完治が難しい疾患で、再発頻度が高いことでも知られています。治療を行った後も定期的な検査を受けることが大切です。

鉄欠乏性貧血について知りたい

鉄欠乏性貧血について知りたい

鉄欠乏性貧血とは、血液中の赤血球を構成する成分"ヘモグロビン"を作るのに必要な鉄が不足して起こる貧血です。ヘモグロビンは血液中の酸素と結びつき、身体の隅々に酸素を運搬する役割を果たしているため、貧血によってヘモグロビンが不足してしまうと、身体が酸素不足に陥ります。また、日本ではよく見られる貧血として知られ、成人女性のおよそ25%が発症しているとされています。

原因として、過剰な出血や鉄分の摂取不足、成長や妊娠に伴う鉄の必要量の増加などが挙げられ、女性では子宮筋腫や子宮内膜症による過多月経にも注意が必要です。

鉄欠乏性貧血の症状

鉄欠乏性貧血の主な症状は、動悸や息切れ・めまい・立ちくらみ・疲れやすさなどです。また、脱力感を伴ったり、顔色が青白くなったりすることもあります。鉄が不足するため、爪が薄く平坦になる・割れやすくなる、口角炎・舌炎、肌荒れなどが起こることもあるので要注意です。

鉄欠乏性貧血の診断と治療

鉄欠乏性貧血の診断と治療

鉄欠乏性貧血の診断は、採血検査で行います。成人男性はHb12g/dl以下、成人女性はHb11g/dl以下の場合が貧血です。Hbとはヘモグロビンのことで、Hb8g/dl以下になるとほとんどの方がなんらかの症状を訴えます

治療方法は、鉄剤による薬物治療が主です。その他に、出血がある場合には止血をすることが最優先とされ、出血場所の特定をします。鉄剤の補給には、内服が選ばれることがほとんどです。しかし、患者様の状態によっては、静脈内投与(注射/もしくは点滴)することもあります。治療期間は2ヵ月以上に及ぶことが多く、身体の貯蔵鉄が十分に回復するまで持続することが必要です。治療が終わった後も、定期的な血液検査を行っていきます。

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生理時の貧血対策(食べ物・サプリ)

ここからは、生理のときに特に気をつけたい貧血対策についてご説明します。貧血は、日常生活の注意をすることである程度予防できる疾患です。少しの工夫が、貧血のつらい症状を防ぎます。

鉄欠乏貧血と食事のこと

鉄欠乏貧血と食事のこと

鉄欠乏性貧血を防ぐには、「ヘム鉄」を多く含む食品を摂ることが求められます。ヘム鉄を多く含む食材は、赤身の肉、まぐろ、かつお、いわし、あさりなどの肉・魚介類が挙げられ、特にレバーはその代表格です。これらの食材を無理のない範囲で摂取すると良いでしょう。

また、鉄分を吸収しやすくする「酸」を一緒に食べるのが理想的。お酢やレモン、梅干しなどと組み合わせたり、よく噛むことで胃酸の分泌を促したりするのも効果的です。鉄の吸収を妨げる「タンニン」は避けたほうがよく、緑茶・コーヒー・紅茶などは食事のときは避けましょう。インスタント食品やスナック菓子などに含まれる「リン酸」は鉄の吸収を阻害するため、これらも避けたほうが無難です。

サプリメントは正しく摂取しよう

鉄が含まれているサプリメントを予防的に摂取してもいいかもしれません。また、赤血球を作る際に必要な「葉酸」「ビタミンB12」鉄の吸収を促す「ビタミンC」を、サプリメントで摂るのも効果的です。しかし、どの栄養素も日々の食事で身体に取り入れた方がよく、サプリメントは栄養補助食品と捉えるといいでしょう。

守りたい生活の注意点

生活上の注意点として、規則正しい食生活が一番に挙げられます。朝・昼・晩規則正しく、栄養バランスが取れた食事をしましょう。また、疲れすぎないことやストレスを貯めないことも大切です。加えて、鉄欠乏性貧血とは異なりますが、生理中に起こりやすい脳貧血は自律神経の乱れが原因で起こるため、質の良い睡眠を取り、適度な運動を行い、リフレッシュを心がけるのもおすすめの生活習慣といえるでしょう。

鉄欠乏性貧血を放置すると?

鉄欠乏性貧血を放置しても決して良くなることはありません。原因を突き止めて治療を行っていくことが大切です。鉄欠乏性貧血は、薬物療法で改善される疾患。しっかり治療を行うようにしてください。放置すると症状がどんどん悪化するだけです。

めまい・動悸に気づいたら…

めまい・動悸・息切れなどの貧血で起こる症状があった場合は、放置せず池袋駅前婦人科クリニックにご相談ください。貧血の原因は、婦人科系疾患のことも多く、過多月経で症状が進んでしまうこともあります。つらい症状をそのままにせず、早めの受診をご検討ください。

生理と貧血に関するよくあるご質問

貧血の治し方はありますか?
A.はい。失われている鉄分を補うことで治療できます。貧血が疑われる症状がある場合は、ためらわず池袋駅前婦人科クリニックにご相談ください。
生理中にめまいが起こる場合は貧血ですか?
A.生理中のめまいは、主に脳貧血が原因のことが多いです。しかし、鉄欠乏性貧血が起こっている可能性も否定できません。めまいや立ちくらみなどの症状がある場合は、池袋駅前婦人科クリニックにお気軽におこしください。
生理の量がとても多く心配です。貧血が考えられるのでしょうか?
A.生理の量が多く、貧血が起こっている方は多くいらっしゃいます。不安になるほど経血量が多い場合は、子宮の病気の可能性も考えられるため、一度婦人科検診をお受けになることをおすすめします。その際に、血液検査で貧血も調べることが可能です。まずは、池袋駅前婦人科クリニックにご相談ください。

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  • 2021/07/01