Vaccination

婦人科の予防接種

麻疹・風疹混合(MR)・子宮頸がんワクチン・おたふく予防接種とは?

「婦人科でワクチン?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、婦人科の診療内容の中には、とても大切なワクチン=予防接種があります。婦人科でしなければならないワクチンとは、どのようなものなのでしょうか?

そこでここでは、婦人科で取り扱うワクチンの中でも、代表的な3種類のワクチンについて解説します。ぜひ、この機会に理解しておきましょう。

ページの監修医師

東京都豊島区の池袋駅前婦人科クリニック加村和雄院長

池袋駅前婦人科クリニック 
加村和雄(かむらかずお)院長

1998年埼玉医科大学医学部卒業。病院やクリニックにて、日本産科婦人科学会専門医として研鑽を重ね、池袋駅前婦人科クリニックを開院。

麻疹・風疹混合(MR)ワクチンはなぜ必要?

麻疹・風疹のワクチンはなぜ必要なのでしょうか?どちらの予防接種も、子どもの頃に受けるイメージがあるかもしれません。大人になってからも必要な予防接種なのでしょうか?くわしく見てみましょう。

麻しん(麻疹/はしか)とは?

麻しん(麻疹/はしか)とは?

麻しん(はしか)とは、麻しんウイルスによって起こる急性の全身感染症です。麻しんウイルスは感染力が非常に高く、免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症します。感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへと伝播する感染症です。症状として熱や咳、鼻水などの風邪症状が現れ、2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。

妊娠中に麻しんに感染しても、胎児が先天性奇形になる確率は低いです。しかし、妊婦さんが感染すると母体自身が脳炎などを起こし重症化しやすく、さらには流産や早産をしやすくなります。また、麻しんの治療薬は現在のところ存在せず、万が一感染した場合には、症状を緩和させる対症療法を行うことになります。

風しん(風疹)とは?

風しん(風疹)とは?

風しんとは、風しんウイルスによって起こる急性の発疹性感染症です。風しんウイルスは非常に感染力が強いことで知られ、飛沫感染でヒトからヒトへと伝播していきます。症状は、不顕性感染(感染症状を示さない)から、重篤な合併症併発まで幅広く認められ、特に成人は小児と比べ症状が重く激しくなる傾向にあります。また、風しんは妊娠中にかかると胎児に影響を及ぼす可能性があり、厚生労働省のサイトでも以下のように記載されています。

風しんに対する免疫が不十分な妊娠20週頃までの妊婦が風しんウイルスに感染すると、先天性風しん症候群の子どもが生まれてくる可能性が高くなります。 引用:厚生労働省|風しんについて

妊娠を希望されるカップル・ご夫婦は、必ず風疹抗体価の検査を行って、風疹抗体価がHI16倍以下の場合にはワクチン接種をするようにしましょう。

先天性風しん症候群(CRS)について

風しんウイルスが血流に乗り胎盤を通過して胎児に感染すると、胎児の死産、流産、早産、先天性奇形などを起こす可能性があります。特に、妊娠12週未満で感染すると85%もの割合で胎児が影響を受けるとされており、注意が必要です。目や耳が不自由になったり、心臓の奇形や精神の発達にも障害が出たりすることもあるとして恐れられています。妊娠20週以降になると胎児への影響も少なくなり、先天性奇形は稀なケースです。

MRワクチンについて

MRワクチンとは、麻しん・風しんを予防する2価ワクチンで、麻しん風しん混合ワクチンのことを指します。近年では、麻しん、風しんが成人で流行しており、成人がかかると重症化しやすいことから注意が呼びかけられています。このことから、成人でも接種が推奨されているのです。このワクチンは2005年に承認され、2006年から日本の定期接種として開始されました。MRワクチンは2回接種することで麻しん・風しんの免疫、つまり抵抗力を獲得します。

なお、MRワクチンは生ワクチンのため、妊娠中の方は接種できません。さらに、ワクチン接種後は2ヵ月間ほど避妊が必要になるので要注意です。

MRワクチンを受ける時期

MRワクチンの接種時期は、第1期と第2期に分けられています。第1期は1歳の赤ちゃんで、第2期は小学校に上る前の年、幼稚園や保育園の年長クラスのお子さんです。この期間にきちんとワクチン接種をしていない方は、任意接種という形でワクチン接種をするようにしましょう。

ご自身に麻しん・風しんの抗体があるかどうかは、抗体検査によって判明します。池袋駅前婦人科クリニックでは、麻しん抗体検査・風しん抗体検査を行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。もし、抗体がない、もしくは低い場合にはワクチン接種も承っております

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子宮頸がん(HPV)ワクチンは受けるべき?

婦人科で行うワクチンとして広く知られているのが、"子宮頸がんワクチン"である「HPVワクチン」ではないでしょうか。子宮頸がんの発症を防ぐこのワクチンについて、くわしく見ていきましょう。

子宮頸がんワクチンは受けるべき?子宮頸がんのできる部位

子宮頸がんワクチンについて

子宮頸がんは、HPV(ヒトパピローマウイルス)への感染が深く関与しているがんです。このことから、HPV感染を防ぐことが、すなわち子宮頸がん予防につながると考えられています。

HPVとはどのようなウイルスかというと、主に性器接触で感染するウイルスです。性交経験がある方であれば、そのほとんどが一生のうちに一度は感染するほど、ごくありふれたウイルスとして知られています。そのため、子宮頸がんワクチンは、性交経験をする前に接種することで、高い予防効果を発揮するのです。

子宮頸がんワクチンの副作用(副反応)が知りたい

どのようなワクチンにも副作用(副反応)の可能性があり、子宮頸がんワクチンにも軽度なものと重篤な副反応があります。軽度なものの代表格が、注射をした部位の痛み・腫れ・発赤などです。この副反応は、予防接種の経験があれば、誰しも覚えがあるポピュラーな症状といえるでしょう。さらに、注射の痛み・恐怖・興奮などがきっかけとなり失神を起こすともあるとされています。

しかし、失神は国際的な臨床試験でもその発現が認められておらず、非常に稀なケースといえます。重篤な副反応には、過敏症反応として、アナフィラキシーや気管支けいれん、じんましんなどが挙げられますが、こちらも発生数が少なく、発生頻度も不明です。

話題になった子宮頸がんワクチンの副反応について

以前、子宮頸がんワクチン接種後に、重篤な副反応が起こったとして、マスコミに大々的に取り上げられ話題になったのを覚えている方も多いかもしれません。その症状が、全身の痛みや歩行困難、睡眠障害や記憶障害などです。この問題については、日本産科婦人科学会のホームページで下記のように記されています。

世界保健機構 (WHO) は最近、ワクチン接種ストレス関連反応(ISRR:Immunization stress-related response )という概念を提唱しています。接種前・接種時・接種直後に見られる急性反応としての頻脈・息切れ・口喝・手足のしびれや、めまい・過換気・失神等、そして、接種後の遅発性反応としての脱力・麻痺・異常な動き・不規則な歩行、言語障害等の解離性神経症状的反応などが含まれています。ワクチンが直接の原因ではない症状も含む好ましくない事象(有害事象)とワクチンの接種に伴う免疫の付与以外の反応(副反応)を区別して評価することが重要です。 引用:日本産科婦人科学会|子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために

子宮頸がんワクチンを受ける年齢は?

子宮頸がんワクチンは、国が接種を推奨し、市町村が接種を行うと定められた定期接種のワクチンで、このワクチンの定期接種が受けられる対象者は、小学校6年~高校1年相当の女子です。

では、この時期以外の方は、接種意義がないかというとそうではなく、15~45歳くらいのすべての女性に有効とされています。これは、性行為を経験していても、対象となるHPV型に感染していなければ、接種は有効という考え方に基づいているからです。子宮頸がんに関与するHPV型は多く存在するので、定期接種対象年齢から外れていても、ワクチン接種を検討する価値があるといえます。

HPVワクチン4価と9価でカバーできるウイルス型

HPVワクチン4価と9価とは?

子宮頸がんワクチンであるHPVワクチンには、4価と9価があります。HPVワクチン4価は"ガーダシル"、HPVワクチン9価は"シルガード9"といい、それぞれカバーできるHPV型が異なります。ガーダシルがカバーするHPV型は6、11、16、18型の4つで、その特徴は公費接種が可能な定期接種の対象です。

一方のシルガード9がカバーするHPV型は6、11、16、18、31、33、45、52、58型の9つで、より幅広いウイルスが対象となっています。シルガード9は公費で接種可能な定期接種の対象からは外れていますが、その有効性の高さから、接種を希望する方から人気が高まっているのが現状です。

おたふくかぜの予防接種とは?

おたふくかぜも、麻しん・風しんと同様に小児のころにかかるメージが強い疾患かもしれません。このおたふくかぜにも予防接種があるのをご存じでしょうか?ここからは、おたふくかぜについて、くわしく解説します。

ムンプス(おたふくかぜ)とは?

ムンプス(おたふくかぜ)とは?

おたふくかぜは正式名称を"流行性耳下腺炎"といい、感染力が非常に高い流行性の病気です。原因菌は"ムンプスウイルス"で、唾液などによる飛沫感染やウイルスを持つヒトとの接触によって感染します。その症状は、発熱を伴う、耳下腺(じかせん)・顎下腺(がくかせん)の腫れや、押したときの痛み(圧痛)、飲み込むときの痛み(嚥下痛/えんげつう)が主です。この疾患の特徴である顔の腫れは、唾液腺にムンプスウイルスが感染して起こります。

また、おたふくかぜは合併症が危険視されており、女性は卵巣炎、男性は精巣炎を起こす可能性があります。これらは、不妊症の原因になることもあるので注意が必要です。ほかにも、中枢神経にウイルスが入り込むことで起こる無菌性髄膜炎や、難聴、膵炎などの合併症もあり、特に成人のおたふくかぜは重症化しやすいとされています。

妊婦がおたふくかぜにかかるとどうなるの?

妊娠中の方がおたふくかぜにかかった場合、胎児に先天性異常が起こるのか、不安に思う方も多いかもしれません。ムンプスウイルスが胎児の先天性異常に関与する可能性は低いのですが、妊娠初期の感染は流産の可能性が否定できないほか、低出生体重児が多くなる傾向もあり、注意が必要です。

さらに、おたふくかぜに効く抗ウイルス薬はなく、治療方法は対症療法になってしまうことから、おたふくかぜの予防接種は妊娠前に行うことが推奨されています。おたふくかぜのワクチンもMRワクチン同様の生ワクチンで、妊娠中に接種することができないため、妊娠を望む方は妊娠前の段階で接種を行うようにしてください。

おたふくかぜワクチンについて

おたふくかぜワクチンは生ワクチンと呼ばれる種類のワクチンです。生ワクチンとは、ウイルスの病原性を低めた薬剤で、胎児への移行も可能性としてゼロではないことから、妊娠中に接種することができません。そのため、接種後2ヵ月は避妊が必要です。

おたふくかぜワクチンは、定期接種のワクチンではありませんが、小児への接種が推奨されている任意接種に分類されます。おたふくかぜに対する免疫は、抗体検査によって調べることが可能です。抗体検査によって抗体が低値、もしくはない場合には、予防接種を受けることを検討するといいでしょう。

おたふくかぜ予防接種を受ける時期

おたふくかぜの予防接種は、感染力の高さや合併症の危険度から、小児期に受けることが望ましいと日本小児科学会でも推奨されているほどです。このことから、予防接種は子どものころに受けている方が多くいます。しかし、予防接種をしたかどうか、抗体があるかどうか、不明な方も多いのが事実です。そこで、妊娠を望む方は、抗体検査を受けることをおすすめします

池袋駅前婦人科クリニックでは、血液検査による抗体検査を行っております。もし、この検査で抗体がない場合でも、おたふくかぜワクチンの接種も可能なので安心です。どうぞお気軽にご相談ください。

婦人科で行うワクチン・予防接種の意義

婦人科で行うワクチン・予防接種の意義

麻しん・風しん・おたふくかぜは、妊娠前に抗体検査を受け、妊娠前に予防接種を受けた方がいいワクチンです。池袋駅前婦人科クリニックでは、ブライダルチェックのオプション検査でも、それぞれの疾患単体の抗体検査にも対応しています。そしてもし、抗体がないとわかった場合には、早めに予防接種を受けましょう。もちろん、当院で接種することが可能です。これは、安心・安全な妊娠・出産に向けての準備。赤ちゃんを守るため、お母さんを守るためにも抗体を得て、免疫を獲得しておきましょう。

子宮頸がんワクチンは、がんを予防することから命を守るワクチンといえます。副反応が心配という方も多いですが、未然にがんが防げることを考えると、その有用性は大きいのではないでしょうか。リスクとワクチンの効果をしっかりと理解したうえで、予防接種を検討すると良いでしょう。

予防接種に関するよくあるご質問

妊娠4か月の妊婦ですが、妊娠中も受けられる予防接種はありますか?
A.妊娠中でも受けられる予防接種はあります。それは、不活化ワクチンと呼ばれるもので、インフルエンザワクチンが一般的です。しかし、生ワクチンと呼ばれる種類のものは接種できません。MRワクチン、おたふくかぜワクチンもその生ワクチンです。また、HPVワクチンも妊娠中の接種は、日本産婦人科医会で推奨しておらず、接種することはできません。
HPVワクチンの9価は保険適用されますか?
A.いいえ。HPVワクチン9価のシルガード9は保険適用にはなりません。そもそも、予防接種は病気に対する治療を目的にするものではないので、健康保険の適用にはならないからです。しかし、HPVワクチン4価のガーダシルに関しては、定期接種対象者であれば、公費で受けられます。HPVワクチンについて不明点がある方は、お気軽に池袋駅前婦人科クリニックにご相談ください。
風しんの予防接種を受けたかわからないのですが、どうしたらいいですか?
A.風しんの抗体があるかわからないときは、血液検査による抗体検査を受けることをおすすめします。抗体検査は、風しんの免疫があるか否か、判断することが可能です。検査結果で、抗体がない場合には、ワクチンを接種すれば、抗体が付き免疫が獲得できます。池袋駅前婦人科クリニックでは、抗体検査も予防接種もそれぞれ承っております。ぜひ、お問い合わせください。
以前、風しんの予防接種を受けましたが、低抗体価でした。抗体がつかないことはあるのですか?
A.はい。ご本人の体質によっては、予防接種後も低抗体価になることがあります。抗体検査の数値にもよりますが、感染を起こさぬよう十分な配慮が必要なケースがあるため注意が必要です。

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  • 2021/07/01